帰国

昨日から一時帰国している。ワルシャワ生活も始めたばかりだが、日本とはあまりにも異質な空気の中で、すでに長い年月が経ったような気がしていた。
ポーランドは確かに市場経済が機能している国である。しかし、日本人の目から見ると、例えば、ワルシャワ市内の店舗など何かみすぼらしい感じを受ける。一つには、多くの建物が、社会主義時代に建てられたままになっていることもあるが、店の照明、ショーウインドーのデザイン、店名に至るまで、かつてのスタイルをそのまま踏襲しているケースが多いことも原因かもしれない。ネーミングに関して言えば、売られている商品名そのものが軒先に掲げられている(「花」、「美容院」など)場合、或いは、「○×事業所」という素っ気のない商号を使用している場合が散見される。
無論、これら中小ビジネスのほとんど全ては民営化され、所有権は民間の手に移っているが、まだ、他と違ったコンセプトを打ち出して「差別化」を図る、という経営感覚が十分には行き届いていないのかもしれない。

さて、ワルシャワ=モスクワ間を久々にツポレフ154で飛んだきた。ツポレフ機は機内が狭く、ちょっとした荷物でも棚に上げられないのが難点だが、中距離路線にのみ就航しているため、飛行時間も短いことが多い。何より私は3発エンジン機がお気に入りである。
東京までの飛行機の中で面白い人物に出会った。航空機(民生用・軍需用を問わず)の修繕サービス業者を名乗る米国籍の男である。何でも、アフガニスタンカンダハールで長く仕事をした後、クウェート、トルコ(イスタンブール)、モスクワと回って、今回は、東京経由でサイゴンまで商用で行くとのこと。米軍・UN関連の基地で仕事をすることもあれば、純然たる民間ビジネスとして動くこともあるという。彼とは突っ込んだ話をしたわけではないが、それでも、対アフガン・ビジネスの緊迫した雰囲気を感じることは出来た。世界にはこうして、時には、軍需ビジネスとも関係しながら、上手く世渡りをしていく手合いも多いのだろう。
何か、今までまったく知らなかった世界を少しだけ垣間見たような気がした。