2006-01-01から1年間の記事一覧

ポーランドの実質GDP成長率は、2003年の3.8%、2004年の5.3%、2005年の3.5%と推移し、2006年1〜3月は5.2%、4〜6月は5.5%、7−9月も5.5%ほどの高い水準を維持する見込みだ。

これを受けて、小売販売高も2006年2月から8ヶ月連続で前年同月比10.0%を越す高い伸びを示しており、直近の9月のデータでは同14.5%の上昇を記録している。更に、2003年には20.0%にも達していた失業率も直近では、15.2%に下が…

日曜日、新進気鋭のメキシコ人映画監督、アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥの「バベル」を見た。テアトル・マウィ(小劇場)でやっている「ポドゥシチェル」(まくら男)という最近話題の新劇との間で迷ったが、なんと言っても、役所広司が出ている映画と言うことで、一も二もなく映画館へ。

バベルは、グローバリゼーションとは何かを考えさせる映画だった。モロッコの片田舎、東京、サンティアゴ、米墨国境地帯の砂漠、4つの全く接点を持たなかったはずの土地が不思議な運命で結び付けられていく。 そこにあるのは、現代のバベルの塔に住む人間の…

先日、今年8月にワルシャワの下町オホタにオープンしたばかりの日本料理店、「いろり」へお邪魔した。このお店、カウンターも合わせて椅子の数は10席ほど、こじんまりとした空間は、気の置けない仲間とホッとしたひと時を過ごすのにお誂え向きだ。

とにかく、ここのご主人との会話が面白い。いりこ出汁の風味がよく出たカルビチゲを戴きながら、この枯れた風味というかうま味をポーランド人に理解させるのは難しいでしょうねぇ、などと話しているうちに次々とビールが運ばれてきて、だんだんと座も盛り上…

このほど、ポーランド外国投資庁(PAIiIZ)は、2010年には欧州で販売される液晶テレビのうち4台に3台はポーランドで生産される(年産3500万台体制!)という驚くべき予測を発表した(ガゼタ・ヴィボルチャ紙、11月3日号)。同庁に拠れば、現時点でポーランドは欧州の平面テレビ(液晶+プラズマ)で約20%のシェアを抑えているという。

同日、船井電機が南西部のノヴァ・スルに、1740万ユーロを投じて液晶テレビ工場の建設を行うことを正式発表した。この投資案件は、ブリジストンが投資を見合わせた正にその土地で行われ(詳細は、本ブログ2006年7月4日号)、船井電機と系列各社が…

10月24日に住宅建設大手ドム・デヴロップメント(Dom Development)社がワルシャワ証券取引所に上場、一株85ズウォティ(1ズウォティ=39円)の初値に対して約40%高の121ズウォティの終値を付けて初日の取引を終えた。

投資家の中には、銀行その他からカネを借りて、同社株の購入に踏み切ったものも多かった模様だ。ワルシャワはいまや空前の不動産ブーム、ブームを下支えしているのが、体制転換から15年余を経て、ようやく衣と食から始まって、身の回りの家電製品にもほぼ…

管理人からお知らせ

みなさま、いつも本ブログをご愛顧いただき、ありがとうございます。 このところ忙しく、なかなか更新ができないでいます。 10月末〜11月初ころから徐々に記事をアップしていきたいと思っていますので、どうぞよろしくお願いします。

今日は久々の休日を楽しむべく、近くにあるガレリア・モコトフの映画館へ。ユナイテッド93を見るつもりが、アルモドヴァル監督最新作のヴォルヴェールという映画がやっていたのでそっちの方へ。

映画の色のことは良く分からないけれど、この作品は、わざと昔風のカラー映像となっていて(イタリア映画、「誓いの休暇」とか「太陽がいっぱい」を思い起こさせるような)、まあ、自分は気に入りました。 主人公のシングルマザーを演じるのはペネロペ・クル…

ここ数日間、ポーランドのマスコミは、マタ・ハリ(第一次世界大戦の伝説的な女スパイ)の異名を取る政治家、レナタ・ベゲルの話題で持ちきりだ。

先週木曜日、ヤロスワフ・カチンスキ首相(法と正義)は突然、アンジェイ・レッペル農相(自衛)の解任を発表、自衛との連立も解消し、法と正義は少数与党となった。その直後から、自衛のもとを去り、法と正義に合流しようとする造反議員が現れた。しかし、…

東芝がポーランド南部のコビェジツェ(ヴロツワフ近郊)に50億円を投じてLCD(液晶)テレビ工場を建設するニュースは、すでに日経新聞等で報じられた通りである。今回は、13日付プルス・ビジネス紙の記事からこのニュースを再度取り上げてみたい。

実は、複数の本ブログ愛読者の方から、ポーランド語の経済ニュースの読み方を教えてほしいと言うお声を頂戴しているので、この機会を利用して、ポーランド語文法の世界にも少し触れてみたいと思った次第でもある。 Toshiba Corporation zainwestuje ok. 167 …

9月6日水曜日夕刻、ワルシャワ・オケンチェ空港にて、595グラムのヘロインをマトリョーシカ人形に紛れ込ませてポーランド入国を果たそうとしたかどで、キルギスの反体制派政治家、オムルベク・テケバイェフ(48歳)が現行犯逮捕された(ガゼタ・ヴィボルチャ紙9月9日号)。

2005年春のチューリップ革命以来、キルギスでは、新しく政権を組織したクルマンベク・バキイェフ大統領とテケバイェフ下院議長との間で、政策路線を巡って激しい対立が続いているとされる。テケバイェフはバキイェフの政治路線を「何でも急ぎ過ぎ」であ…

このところ、ポーランド最大の保険会社PZU社のネツェル(Netzel)社長を巡る黒い資金の流れを追っていた(資金の出所はグダニスク系マフィア)が、現時点ではまだ記事を纏められない段階にある。そこで今日は中国企業がいよいよ本格的にポーランド進出をしてくるというお話をしようと思う。

9月7日付ポーランド通信社電によれば、中国資本のMin Hoong Development社(本社香港)がシュチェチンにて5億ユーロから10億ユーロに上る不動産投資を行う意向である*。計画では、同市ドンビェ湖周辺に滞在型ホテル、高級高層住宅、ヨットハーバー、地…

ポーランドの新聞でウクライナ・ジョーク特集をやっている(ガゼタ・ヴィボルチャ紙8月24日号)。日本人の感覚からすると、「オチは分かっても笑いのツボが違うなあ」と感じさせるものもあるが、しばしお付き合いいただきたい。

*最近、キエフのバンコヴァ通りにある大統領官邸の前に、クチマ前大統領がユシュチェンコ現大統領に対して、恭しくも熊手をプレゼントしている合成写真が張り出され、市民の失笑を買っている。 ロシア語やウクライナ語では、「熊手を受け継ぐ」というイディ…

ポーランドでは、「FDI受入額年間100億ドル達成」が予てより非公式的な政策目標に掲げられており、実際に、2000年にはTPSA(ポーランド通信)の民営化などもあり、FDI流入額が106億ドルに達した。しかし、その後は、概ね年間60〜70億ドル台で推移している。

8月21日付ジェチポスポリタ紙に拠れば、2006年上半期には、80社以上の外資系企業が、ポーランドにおいて総額40億ドルほどの投資計画を発表したと言う(新規雇用創出予定数は約3万6000人)。以下に、同紙で紹介された大型投資プロジェクトの…

ル・フィガロ紙は、このほど、UBS銀行が「物価と賃金」というレポートにおいて、世界主要都市の労働時間を調査した結果、ヨーロッパ人→アメリカ人→アジア人の順番に労働時間が長くなり、有給休暇日数も少ないという結果が出たことを紹介している。

とにかく、欧州人はよく休む。>. 「欧州は、自分の自由時間を重視する雇用者にとっては、大変、魅力的な土地だ。」 西欧諸国は、有給休暇日数では、国際平均の年間20日間台の水準にあるが、都市間で大きな差が見られ、例えば、ベルリンでは、平均の有給休…

The Banker誌発表の世界銀行ランキングに中東欧の銀行としては初めて、ロシアのズベルバンク(旧貯蓄銀行)が82位でランクインした。

同誌によれば、中東欧地域の10大銀行(資産額ベース)は以下の通りとなる。1位、ズベルバンク(ロシア)、75億ドル 2位、ヴニェシトルグバンク=旧外国貿易・外国為替専門銀行(ロシア)、49億ドル 3位、OTP銀行(ハンガリー)、22億ドル 4位、P…

社会党は、もともと、親ユシュチェンコだったが、モロス党首が最高会議議長の座を射止めることが出来なかったことから、次第に大統領サイドとの反発を強め、ヤヌコヴィチ陣営に付くこととなった。その際、社会党の口座には、地域党関係者から2億5000万ドル相当の送金があったとキエフでは囁かれているという(ポリティカ誌7月26日号)。

ただし、同誌は、ウクライナのNATO加盟に関しては否定的な見方をしている。ひとつには、クリミア等でとりわけ反NATO感情が強いこと、また、NATO側でも、共産党を含む現連立政権を受け入れる準備は無いことが根拠として挙げられている。 ウクライナは軍事面で…

8月3日、ウクライナのユシュチェンコ大統領は、今年3月の総選挙で得票率32%を獲得し、議会第一党となっていた地域党(パルティア・レギオノフ)のヤヌコヴィチ党首を首相に指名した。新内閣には、親ロシア派(地域党、共産党、社会党)、親西欧派(われらウクライナ=ユシュチェンコ大統領の政党)が共存し、ティモシェンコ元首相の率いる「ティモシェンコ連合」は唯一の野党となった*。

この連立内閣、地域党(親ロ派)のシンボルカラーがブルーであり、われらウクライナ(親西欧派)のシンボルカラーがオレンジであることから、「ブルー・オレンジ連立」の異名を取っている。 ヤヌコヴィチの首相就任によって、総選挙以来、4ヶ月間続いていた…

ポーランドの自動車市場調査会社Samarによると、イランのホドロ・インダストリアル・グループ社が、ベラルーシにて、現地パートナーのユニソン社と共同でプジョー406をモデルにした新型車「サマンド:Samand」の生産を開始する意向である。イラン製部品を使用した完全組み立て生産(CKD)を行う予定で、2006年中に600台を生産、2007年には6000台を生産するという。完成車は、中東欧、ロシア、ウクライナへの輸出が期待されている(サマンドの写真は下のリンク参照)。

http://www.samar.pl/index.html?__lang=pl&__action=sec,4&new=10992実は、イラン経済は2005年のWTO加盟と昨今の原油高を受けて絶好調であり、ホロコースト否定発言などでそのエキセントリック性が強調されるアフマディネジャード政権も、経済政策面で…

ポーランド南部から次々と入る自動車産業関連の威勢の良いニュースとは裏腹に、カチンスキ・ブラザーズのお膝元ワルシャワ発のニュースは、「国防上の重要企業」(具体的には石油精製の大手、PKNオルレン社を指す)の再国有化法案などのおどろおどろしいネタばかり、、、、 ラ・マンチャの男よ、そんなに急いでどこに行く??

【チェンストホヴァ、カトヴィツェ発】 8月1日付PAPニュースによると、自動車用安全部品(シートベルト、poduszki powietrne=エアクッション、ABSシステム)生産の世界最王手、米TRW社(2004年の全世界売上高120億ドル、全世界雇用6万1000人…

このところ、フランスを代表する自動車部品メーカーであるフォーレシア社が、契約獲得を目的としたリベートの支払いを、フォルクスワーゲン社、アウディ社、セアト社、フォード社、BMW社に対して繰り返していたのではないかという疑惑が浮上している(ル・モンド紙7月26日、27日版)。

このうち、BMW社へのリベート支払額については、ミュンヘン検察庁のアントン・ヴィンクレル検事が暴露したところに拠れば、BMW社関係者2名に対する総額10万ユーロ(約1450万円)程度のものであったと言う。この証言から察する限り、リベート支払額そ…

このほど、ブリヂストン社がポーランドで280億円(2億ユーロ)相当の投資を行い、トラック・バス用のラジアル・タイヤの生産を2009年中に開始することが発表された。

工場建設予定地は、対ドイツ国境に程近く、バルト海を背後に控えたスタルガルド・シュチェチンスキ(ポモジェ経済特区のサブゾーンに指定)で、2011年上半期までに日産5000本体制を敷く意向である。 同社は、ポーランドですでに2拠点(ポズナンのタ…

日本ではあまり報道されることの無いポーランド経済(+フランス経済)を巡るトピックを、時には、マフィアの話なども交えながら斬るブログ、『ポーランド国暗夜行路』では、新着記事をゾクゾク配信中です(なお、筆者プロフィールについては、左の写真をクリックください)。

なお、ご要望に応じて、翻訳・通訳のご注文も承っています。すでに複数の企業様、国際機関様よりご用命を賜り、ご好評を得ております。【翻訳】(ポ⇔日、ポ⇔英)1.一般的な文書(会社案内、観光案内、新聞・雑誌記事の翻訳など) 150ズロチ/1,800…

今日は、視点をがらりと変えて、ロシアとフランスの最新鉄道事情をお伝えしよう。

【モスクワ発】 20日付露コメルサント紙電子版には、モスクワ−ペテルブルク間を結ぶロシア版新幹線である「赤い矢号」(クラースナヤ・ストレラー」(西武鉄道の「レッド・アロー号」の名称はここから来ていると言われる)のフルモデルチェンジについての…

先日、セバスティアン・ミコシュ前外国投資庁副長官が辞任した(マフィアと関係があるミコシュ前国庫相とは別人です、念のため)。このたび、彼は、Plus Biznes紙に対して、ポーランドが近隣諸国と争って、その誘致に失敗した外資投資プロジェクトについてのウラ話(podszewka)を明かした。

まず、歴代の大統領、首相の外資誘致への意気込みに付いて。 クファシニェフスキ前大統領(SLD: 民主左翼連合) 「外資にとって、大統領との面会はとても大事なことだ。彼はこの任務を完璧にこなした。ヒュンダイ自動車、LGをもてなしたときには、韓国語を少…

日本企業の進出という点では、チェコはポーランド以上に成功を収めている国である。

1993年〜2005年上半期までのチェコのFDI累積額は、466億4900万ユーロに達しており、2005年末時点での一人当たりFDI累積額では、中東欧諸国中では、エストニア(7717ユーロ)、ハンガリー(5133ユーロ)、チェコ(4932ユーロ…

第I部: コードネームは「ベアタ」

7月7日付けの日記でも書いたように、ポーランドでは、しばしば、政府関係者に対して、共産主義時代に秘密警察の一員(etatowy oficer)あるいはその秘密連絡員(TW: tajny wspolpracownik)であったかが裁判所で問われ、場合によっては政治生命を奪われる…

7月4日に経済省から最新版『経済特区レポート』がプレスリリースされた(http://www.mgip.gov.pl/Wiadomosci/Strona+glowna/SSE+2005.htm)(英語版なし)。ポーランドでは、ユニークな外資誘致政策として、「経済特区」の制度がある。

経済特区(specjalna strefa ekonomiczna)は、1994年に出された「経済特区に関する法律」(Dz. U. 1994 Nr 123, poz. 600)で導入が決定され、2006年現在、全国に14箇所の経済特区が稼動中である。 経済特区の一般的なイメージとしては…

本日7月7日午後8時(日本時間8日午前3時)マルチンキェヴィチ首相が辞意を表明した。今のところ、後任は、カチンスキの実兄に当たるヤロスラフ・カチンスキが就任することが有力視されている。

首相辞任を受けて、早くも、同国通貨ズウォティは主要国通貨に対して、軒並み下げ始めている。 明らかにマーケットは、今回の辞任を悪材料として見ている。予てより首相は、先日辞任したギロフスカ蔵相を高く評価しており、蔵相の辞意表明後も彼女の慰留に向…

本稿の執筆には、ニューズウィークPL版7月2日号を参考にしました。

先日、中央統計局が発表した2006年5月末のポーランドの失業率は16.5%。もちろん、EU域内で最悪の数値である。しかし、昨年5月末時点での失業率(18.5%)よりは改善している。

ここへ来て、ポーランドの失業率の推移は、明らかな下降曲線を描き出している。 ポーランド人の雇用吸収の立役者となっているのは、①外資系企業による新規雇用、②低賃金の非正規雇用、③西欧への出稼ぎ労働の主として3つの経路である。 外資は、2004年末…