2006-01-01から1年間の記事一覧

今日は少しポーランドの教育の話をしてみようと思う。6月27日付のガゼタ・ヴィボルチャ紙によれば、議会第一党のPiS(法と正義)が「教育基本法」の改正案を下院議長に提出した。

この箇所の原文は、 Wczoraj PiS zglosilo do laski marszalkowskiej wlasny projekt zmian w ustawie oswiatowej. となる。ここで、laski(原形はlaska)という単語が使われているが、これは、本来、杖と言う意味である。直訳すると、「下院議長の玉杖の下…

先週の土曜日にワルシャワを発ち、一昨日まで「ポズナン国際機械見本市」に参加してきた。同じ時期にドイツでもMETAV(メタフ)という世界最大の機械見本市が開かれているが、ポズナンの見本市もなかなかの盛況ぶりだった。

ほんの2、3年前まで、「機械の数よりコンパニオンの数のほうが多い」と揶揄されていた見本市だが、展示スペースが大幅に拡張された結果、今まで高い旅費をかけてドイツのMETAVまで出かけていかざるをえなかったポーランド人バイヤーを多く引き付けるように…

おととい見た「トリスタンとイゾルデ」(あるいは、「トリスタンとイズー」)は心に残る映画でした。

映画で見てはじめて知ったのですが、アイルランドがウェールズやコーンウォールを侵略していた!!!時代があったのですね! 英国史は盲点でした。 印象的だったのは、イゾルデも含めてアイルランド王国側の人間は金髪で、トリスタンも含めて、ウェールズや…

PKN Orlen(オルレン)社はポーランド最大の石油精製会社として、同国を代表する多国籍企業のひとつとして君臨しつつあるが、本ブログでも度々指摘している通り、その経営には不透明かつ稚拙な部分が多い。

PKN Orlen社では、予てより、国外展開を積極的に推し進めており、5月24日には、倒産したロシアの石油大手Yukos(ユーコス)社が有していたリトアニアのMazeikiu Nafta(マゼイキュ・ナフタ)社の発行済み株式の53%を14億9000万ドルで買収してい…

ワルシャワ証券取引所は連日の大商いで、5月11日(木)には、WIG(ワルシャワ証取指数)が史上新高値(45,894.55)を付けた。

マーケットの牽引役となっているのは、石油・ガス関連(PKN Orlen社、Lotos社、PGNiG社)、精銅(KGHM社)などの資源株である。 とりわけ、上海市場での銅価格高騰を受けて、欧州第2位の産銅量を誇るKGHM社の株価は135ズウォティ(約5100円)の高値…

エックス・ドニ・ジャポニイではなくて、ジェションテ・ドニ・ヤポニと読みます。

つまり「第十回日本の日」。わがワルシャワ経済大学で、今週火曜日から金曜日まで開かれているイベントです。 でも、大学中が日本一色というわけではなく、日本関連の講演会、武道の実技、日本語教室などが散発的に開かれています。 昨日は、日本語教室に行…

ポーランドでは、反ユダヤ主義を標榜する「ラジオ・マリア」をカチンスキ大統領が擁護し、過激な民族主義を掲げる「自衛」との連立政権が発足、数日中にも閣僚の一部入れ替えが行われる模様である。

これを受けて、過去に駐仏大使、駐露大使を務めた老獪な職業外交官、ミレル(Stefan Miller)外相も辞意を表明した。 今後、ポーランドの対近隣諸国関係が悪化することは避けられまい。さて、去年、11月17日付けの記事タイトルは「ポーランド・ロシア貿…

このところ、中欧では自動車産業を巡る動きが活発化している。4月28日夜、ソウルにて現代自動車会長の鄭夢九(チョン・モング)が贈賄疑惑で逮捕された。読売新聞は、「絶大な権限を持つオーナー経営者の逮捕は、世界展開を進めるグループにとって、大きな打撃になるのは必至だ」(http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060428-00000514-yom-int)とまで報じている。

現代自動車は、チェコで2008年10月を目処に、チェコ史上最大規模のFDI案件となる総額10億ユーロ規模の投資を行い、年産30万台体制の自動車工場を建設する予定であるが、翌29日付けのGazeta Wyborcza紙に拠れば、早くも、チェコ政府筋は、工場建…

どこの国でも石油産業というものは、利権にまみれて全体が把握しにくい産業のひとつだろう。

産油国でないポーランドもその多分に漏れない。 なにか面白い記事はないかとネットを漁っていると、「シェミョントコフスキがJ&Sに勝った」(http://www.wprost.pl/ar/?O=89649&C=73)と題するフプロスト誌の最新記事が出てきた。 このJ&Sという会社、200…

以前から謎に思っていたことだが、中国がグダニスク(ポーランド北部の貿易港)に総領事館(Konsulat Generalny)を持っている。

グダニスクにある諸外国の総領事館は、中国以外では、歴史的な関係が深いドイツ、スラブ三国、スカンジナビア諸国(ドイツ、ロシア、ベラルーシ、ウクライナ、アイスランド、スウェーデン)のみで、以前旅行したときに偶然発見したレンガ造りの鄙びた中国総…

ポーランドに春が来ました。ここ一週間、気温は15度以上です。Przedwiosnieと聞くと、ステファン・ジェロムスキの同名のタイトルの小説と映画を思い出します。

細かい筋を忘れてしまったので、ネットで検索してみました。 すると、以下のような波瀾に満ちた小説だったのです。++++++++++++++++++++++++++++帝政ロシア支配最末期のアゼルバイジャンはバクー油田地帯、地方の小貴族であるバ…

いま、2チャンネルでやってる、ガイジンを呼んでポーランド語で自国紹介させる番組を見ています。

今日は在ポーランド西班牙人が呼ばれています。 スペインでは、地域によって独自の文化があります。 例えば、時計。 カタルーニャ人は、時間を見るために腕時計をしています。 アンダルシア人は、他人に見せびらかすために腕時計をしています。 バスク人は、…

今日は、BPH-Pekao銀合併問題に付いて簡単に触れた後、「世界大テレビ戦争」と題して、今執筆中のとある原稿から、目くるめく変化する、ポーランドのテレビ生産業界の勢力図に付いて紹介したい。

毎週、月〜木の午後10時40分頃から3チャンネル(ポーランドテレビ1)で、Prosto w oczy(直視)という番組をやっている。 この番組の司会は、モニカ・オレイニク(Monika Olejnik)という、ポーランド女性の中でもとりわけ、サド気が強そうなジャーナ…

今回は、大統領(カチンスキ)と中銀総裁(バルツェロヴィチ)の対立という観点から、カチンスキ批判を繰り広げてみたい。

そもそも、カチンスキは選挙戦のさなかから、「俺が大統領になったら、バルツェロヴィチはクビにする」と明言していた。これに対して、バルツェロヴィチも盛んに応戦し、とりわけ、カチンスキが大統領に就任してからは、中銀総裁という立場にありながら、折…

本日夕刻のニュースによると、アンジェイ・ワイダ(ヴァイダ)監督が80歳の誕生日を迎えたそうです。

監督は、目下、第二次大戦中に2万5000人のポーランド人将校・エリートがNKVD(内務人民委員会=KGBの前身)によって虐殺された事件、「カティンの森事件」についての映画を製作中だそうです。 今日、アンジェイ・ワイダ(ヴァイダ)監督が80歳…

今日、いつものように原稿の執筆にかかりっきりになっていたところ、夕方6時頃、誰かがドアを叩く音が。のぞき窓からのぞいてみると、中年のおばさんが紙束を持って突っ立っている。

話を聞いてみると、家賃の取立てに来たという。そこで、「払い込み用紙」なるものを見せてもらうと、郵便局の為替振出用紙に1236.73ズウォティとか、やけに細かい数字が並んでいる。はいはい、ありましたよ〜、こういうこと以前にも。 その場で、外国…

最近のポーランドの外資の動向を見ていると、少し気になる兆候が見られる。

それは、今まで、次第に弱体化しつつあるかのように見えていた同国の「労組」の活動が、ここに来て、活発化しているように思えることだ。 去年春にもある日系のプラントで、1150名いる従業員のうち、350名を解雇しようとしたところ、約100名の連帯…

以下の文章は、前回のポーランド政治キーワード論:「コスメティシズム」と「大シスマ」の続編です。

「大シスマ」に関しては、周知の通り世界史の用語であり、11世紀末にカトリック教会と東方正教会が分裂(東西分裂)した事件を指す。 キリスト教会内部での教義解釈のズレという、やもすれば高踏的な対立軸が「大シスマ」の直接的な原因であるが、実は、そこ…

さてさて、久しぶりの日記登場である。日記更新をしていなかった間、却って、ポーランド政治の諸相を現す言葉選びに専念できた気がする。

一つのキーワードは、「コスメティシズム:Cosmeticism」、もう一つのキーワードは、「大シスマ:Great Schism」である。「コスメティシズム」とは、化粧品(コスメティックス)から出た単語で、愛用のALC社ウェブ英和辞典(www.alc.co.jp)には、未収録なの…

キエフ(キユフ)発

ある日、狼が友人の熊を家に招待することになりました。 早速、熊の大好物のウサギを生け捕りにしました。 さあ、料理の開始です。ところが、ガスこんろのスイッチを入れるとガスがありません。そこで、かまどの火を焚こうとすると、今度は石炭がありません…

2月15日締め切りの原稿を抱えて大童。月曜日には、いよいよ待望のマンションへと引越しも控えている(30㎡で都心)。さよなら、僕の最初のワルシャワ、寮で過ごした短かけりし日々よ、、、

文化レベルとして見たときのワルシャワとトーキョーの違いは何かということを考えてみた。 演劇、芸術活動(アングラも含めて)という観点からは、恐らく、ワルシャワとトーキョーのレベルは差して変わらない。 ただし、決定的にトーキョーが優位に立つのは…

ワルシャワは毎日、零下30度以下、バスの窓が厚い氷で覆われて外が見えない。ついつい、バス停を見逃しそうになってしまう。

昨日は、ついに、「厳しい寒さのため、1月29日までの間、お客様の申し出が無い限り、主要停留所以外ではドアを開きません」という張り紙まで出た。スーパーでは、スキー服を一般のジャケットとして売っている(当然、手袋もスキー用)。 寒さに強いはずの…

ポーランドでは、政府が隠然として経済界に勢力を張っており、半官半民、あるいは、国営のまま残されている大企業の重役会の椅子は、政権が交代する度に、その政権の息がかかった連中へと渡る。

今朝早くに下シロンスク地方の小都市を訪ね歩いた旅行から戻ってきた。詳細は、『ポーランド経済再生の現場を行くシリーズ 2』に譲るとして、今日は、少し違った観点からポーランド経済を眺めてみたいと思う。

自分で言うのもなんだが、私は料理が上手い。今日も、ハンガリーの代表的な料理である「グヤーシュ」を作ってみた。まず骨付き牛肉1キロを丁寧に脂肪を取り除いて角切りにする。牛肉は骨付きを選ばないと美味しくない。にんにくを炒めた上にドンドン肉を載…

ワルシャワ郊外にジェラニィ(Zeran)という地区がある。ここには、戦前からフィアット社の自動車組み立て工場があった。戦後は、「個人用自動車工場」(FSO)という素っ気の無い名前に改名して、フィアットからライセンス供与を受けたセダンを生産していた。

FSO社も、体制転換後をさまよい歩き続ける企業の一つである。同社の最近の歩みを纏めてみた。 1988−89年 ダイハツ、ルノーが経営参加も含めた提携話を打診。 とりわけ、ダイハツは、ポーランドを拠点として、フル車種生産体制を敷き、一挙に東欧市場と…

先週金曜日(1月6日)、ルビンスカが解任された。彼女は、稚拙な外資批判を口にするなど、その大臣としての資質には大きな疑問が投げかけられていた人物であった。

後任は、Zyta Gilowska(ジタ・ギロフスカ)女史である。彼女は、もともと、野党POに所属する議員であったが、自らの事務所に親族を雇用していたことが問題視され、事実上の除名処分となり、2005年5月からは無所属議員となっていた。 その後、迎えた総…

 私は、Ministerstwo Skarb Panstwaを文字通り「国庫省」と訳してきたが、その機能を考えると、「国有財産省」という訳も名訳であると思われる。ついては、大方博雅の士のご意見を乞う次第である。

ミコシュ解任

今朝の『共和国』紙一面を見て驚いた。ミコシュが解任(odwolany)させられたと言うのだ。 迂闊であったが、ミコシュが民間から入閣したことに初めて気が付いた。 駐ポーランド日本大使館政務班の作成したデータは以下のように語る。 ○国有財産相 * アンジェ…

リベラル派の『共和国』紙が、右派PiS政権への攻勢を強めている。目下、同紙が全力で取り組んでいるのが、国庫省大臣アンジェイ・ミコシュ(Andrzej Mikosz)にまつわる疑惑解明である。

1月3日付けの同紙トップ記事は、2002年、ミコシュの妻であるクリスティナ(Krystyna)が、ポーランドの代表的な金融マフィアの一人、ヴィトルド・W(Witold W.)なる人物に、個人財産から30万ドルを委託、資産運用を任せていたのではないか、と報じ…

ラザロヴィチはその後、第14国民投資基金(XIV NFI)の総裁の座に収まっており、2004年には、違法行為で逮捕歴もある投資家、ピョトル・グウォヴァリ(Piotr Glowali)の殺害にも関与していたのではないかと疑いが持たれている。