2007-01-01から1年間の記事一覧

ポーランド―ウクライナの国境地帯に流れるブク川を巡っては、「ブク川の向こうの同胞」(Rodzacy za Bugiem)という言葉がある。これは、同国の長い対ロシア蜂起の歴史の中でシベリアに追放されたポーランド人や旧ポーランド領であった現在のリトアニアやベラルーシ、ウクライナ西部といった地域に戦後も踏みとどまったポーランド系住民を指す言葉である。

2004年のEU加盟後、ポーランドから英国、アイルランド等のいち早く旧東欧諸国に対して労働市場を開放したEU諸国への移民が急増し、一部地域では労働者不足が深刻化し始めている。労働力不足を解決する切り札としてポーランド政府が期待を寄せているのが…

『スターリンが建てた映画館』にしてワルシャワを代表する映画スポットのひとつ、科学文化宮殿内「キノテカ」(Kinoteka)へと久々に行ってみた。社会主義時代に建設された巨大映画館が次々と閉鎖、取り壊しされる中(惜しかったのは、ワルシャワ経済大学の近くプワフスカ通りにあったモスクワ映画館だ。いまでは同じ場所にシルバー・スクリーンが建っている)、ここは社会主義時代の雰囲気を楽しむことができる稀有な場所のひとつとなりつつある。

今日見てきたのは、『幸せ』(Stesti:シテェースティー)というタイトルの2005年チェコ映画。 映画の舞台はうらぶれたチェコの地方工業都市、その町に生きる貧しい男女のささやかな愛の物語である。Monika (Tatiana Vilhelmová), Toník (Pavel Liška) a …

2005年、インドのテレビ生産大手ヴィデオコン(Videocon)がワルシャワ郊外ピャセチノ(Piaseczno)にある仏トムソン(Thomson Displays Poland)のテレビ工場を買収した(詳しい経緯は2006年3月9日の本ブログ参照)。その後、突如として、5月22日付のジェンニク紙にヴィデオコンが同工場に50億ズオチ(約2000億円)を投資して、最新鋭のLCDテレビの組み立て及び拡散版/偏光版等の部品生産も行うとの記事が出た。最終的にはR&D拠点も併設し、総投資額は200億ドル(約8000

ところが、これには現地紙が一斉に反論記事を出している。24日付のジェチポスポリタ紙は、「連帯」ヴィデオコン工場支部長のアンジェイ・マトゥラの語った話として、同工場では3300名の従業員のうち30%の首切りが計画されていることを伝えた。続い…

鳴り物入りで完成したワルシャワ駅前のショッピングモール、ズウォティ・タラスィ(Zloty Tarasy)の売り上げが低迷しているという。ズウォティ・タラスィについては、本ブログ号でも酷評しているが、建物の概観は立派でも中身が充実しない新ショッピングモールが、最新モードを追い求める「着倒れポーランド女性」のおめがねに適わなかった事は、もはや疑いようのない事実である。

ワルシャワは現在、建築ブームの只中にあり、地下鉄ヴィラヌフ駅の近くなどでは、富裕層向けに大規模な高級賃貸マンションの建設が進行中だ。だが、新興住宅地の建設、相次ぐ高速道路の整備などは、どこか新興国らしさを感じさせる月並みなテーマである。そ…

うんともすんとも言わなかった『ポーランド国暗夜行路』、そろそろぼちぼち再開してみましょうか。今日はゴールデンウィークに行ってみた欧州最後の原生林とも言われるビャウォヴィエジャの森訪問記です。

さて、ポーランドでは5月1日が「労働の日」(シフィエント・プラツィ)、5月3日が「憲法記念日」(シフィエント・コンスティトゥーツィ)となっていて、日本と同様、5月の第一週を丸々休んでしまう習慣があります(この休みのことをポーランド語ではマ…

好調な経済発展を続けるポーランドにあって、現政権与党によるユーロ懐疑論(ユーロスケプティシズム)が、その将来に暗雲を投げかけつつある。そもそも、将来のユーロ導入は、ポーランドのEU加盟条件の一つに含まれていたのだが、ここに来て、カチンスキ大統領はユーロ導入にあたって国民投票の実施を示唆し、さらに、スワヴォミル・スクシペク新中銀総裁も今年2月、ユーロ導入は2013年以後となると発言するなど、政権によるユーロ懐疑論がエスカレート化の兆しを見せている。

さて、ユーロ導入を遅らせることによるデメリットとして、2月9日付けのガゼタ・ヴィボルチャ紙は、①(ポーランド通貨ズウォティ高が進行することにより)ポーランドがEUから受け取る補助金がズウォティ換算で目減りしてしまうこと、②ユーロ導入国で構成さ…

不思議の国ベラルーシで露ガスプロム社との協議の結果、ガス価格が2倍近くに引き上げ(1000㎥あたり46.68ドルから100ドルへ)されてからひと月近くが経った。今回の措置により、ベラルーシ経済への直接的な影響はどれほどあるのだろうか? CIAワールドファクトブックによれば、2004年に同国は推計で162億2000万㎥のガスを輸入していた。この数字を元に計算すると、ベラルーシにはガス価格の上昇に伴って、年間8億6500万ドルの追加支払いが今年から生じることになる。

ただし、ガスプロム社との同意の中には、同国の欧州向け天然ガスパイプライン運営会社であるビェルトランスガス(Bieltransgaz)社の発行済み株式の50%をガスプロム社が今後4年間で購入するという条項が含まれている。ビェルトランスガス社の株式の50…

今ワルシャワでは、来週2月7日(水曜)にワルシャワ中央駅となりにオープン予定の大型ショッピングモール、「ズウォティ・タラスィ」(黄金のテラスの意味)の話題で持ちきりだ。同プロジェクトは、総工費15億ズウォティ(600億円)とも言われ、総床面積22万5000平方メートル(うち、オフィス部分が4万5000㎡、地下部分の面積が8万6000㎡)、地上7階建て、地下4階建て(うち、地下駐車場が2階分を占め、1万6000台収容可能)の超巨大プロジェクト(施主はオランダ系のING Real Estate)だ。

ただ、自分自身は、2月2日付けのガゼタ・ヴィボルチャ紙の記事を読んで意気消沈してしまった。 記事の伝えるところによると、同ショッピングモールには、ポーランド初の出店となるブランドとして、化粧品・アクセサリーのクレール、ボディ・ショップ、化粧…

ネットコンテンツの世界というものは、優れてローカルで民族色にあふれたものだ。ここポーランドでは、今週木曜日(2月1日)Gadu-Gadu(ガドゥガドゥ)というチャットサイトを運営する会社がワルシャワ証取に上場される運びで、投資家の注目を集めている。ニューズウィーク誌2月4日号に拠れば、ポーランドではすでに3世帯に1世帯の割合でネットが普及しており、これは、ルーマニア、ブルガリア、ウクライナの10世帯あたり1世帯と比較すると格段に多いという。

さて、ガドゥガドゥというのは、ポーランド語の「おしゃべりする」という動詞にあたるガダッチ(gadac)から来ている名称で、一説によると、同国のネット利用者の半数が利用しているソフトだという。 斯く言う自分もPCにガドゥガドゥをダウンロードしている…