文化

『スターリンが建てた映画館』にしてワルシャワを代表する映画スポットのひとつ、科学文化宮殿内「キノテカ」(Kinoteka)へと久々に行ってみた。社会主義時代に建設された巨大映画館が次々と閉鎖、取り壊しされる中(惜しかったのは、ワルシャワ経済大学の近くプワフスカ通りにあったモスクワ映画館だ。いまでは同じ場所にシルバー・スクリーンが建っている)、ここは社会主義時代の雰囲気を楽しむことができる稀有な場所のひとつとなりつつある。

今日見てきたのは、『幸せ』(Stesti:シテェースティー)というタイトルの2005年チェコ映画。 映画の舞台はうらぶれたチェコの地方工業都市、その町に生きる貧しい男女のささやかな愛の物語である。Monika (Tatiana Vilhelmová), Toník (Pavel Liška) a …

日曜日、新進気鋭のメキシコ人映画監督、アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥの「バベル」を見た。テアトル・マウィ(小劇場)でやっている「ポドゥシチェル」(まくら男)という最近話題の新劇との間で迷ったが、なんと言っても、役所広司が出ている映画と言うことで、一も二もなく映画館へ。

バベルは、グローバリゼーションとは何かを考えさせる映画だった。モロッコの片田舎、東京、サンティアゴ、米墨国境地帯の砂漠、4つの全く接点を持たなかったはずの土地が不思議な運命で結び付けられていく。 そこにあるのは、現代のバベルの塔に住む人間の…

先日、今年8月にワルシャワの下町オホタにオープンしたばかりの日本料理店、「いろり」へお邪魔した。このお店、カウンターも合わせて椅子の数は10席ほど、こじんまりとした空間は、気の置けない仲間とホッとしたひと時を過ごすのにお誂え向きだ。

とにかく、ここのご主人との会話が面白い。いりこ出汁の風味がよく出たカルビチゲを戴きながら、この枯れた風味というかうま味をポーランド人に理解させるのは難しいでしょうねぇ、などと話しているうちに次々とビールが運ばれてきて、だんだんと座も盛り上…

今日は久々の休日を楽しむべく、近くにあるガレリア・モコトフの映画館へ。ユナイテッド93を見るつもりが、アルモドヴァル監督最新作のヴォルヴェールという映画がやっていたのでそっちの方へ。

映画の色のことは良く分からないけれど、この作品は、わざと昔風のカラー映像となっていて(イタリア映画、「誓いの休暇」とか「太陽がいっぱい」を思い起こさせるような)、まあ、自分は気に入りました。 主人公のシングルマザーを演じるのはペネロペ・クル…

おととい見た「トリスタンとイゾルデ」(あるいは、「トリスタンとイズー」)は心に残る映画でした。

映画で見てはじめて知ったのですが、アイルランドがウェールズやコーンウォールを侵略していた!!!時代があったのですね! 英国史は盲点でした。 印象的だったのは、イゾルデも含めてアイルランド王国側の人間は金髪で、トリスタンも含めて、ウェールズや…

ポーランドに春が来ました。ここ一週間、気温は15度以上です。Przedwiosnieと聞くと、ステファン・ジェロムスキの同名のタイトルの小説と映画を思い出します。

細かい筋を忘れてしまったので、ネットで検索してみました。 すると、以下のような波瀾に満ちた小説だったのです。++++++++++++++++++++++++++++帝政ロシア支配最末期のアゼルバイジャンはバクー油田地帯、地方の小貴族であるバ…

いま、2チャンネルでやってる、ガイジンを呼んでポーランド語で自国紹介させる番組を見ています。

今日は在ポーランド西班牙人が呼ばれています。 スペインでは、地域によって独自の文化があります。 例えば、時計。 カタルーニャ人は、時間を見るために腕時計をしています。 アンダルシア人は、他人に見せびらかすために腕時計をしています。 バスク人は、…

本日夕刻のニュースによると、アンジェイ・ワイダ(ヴァイダ)監督が80歳の誕生日を迎えたそうです。

監督は、目下、第二次大戦中に2万5000人のポーランド人将校・エリートがNKVD(内務人民委員会=KGBの前身)によって虐殺された事件、「カティンの森事件」についての映画を製作中だそうです。 今日、アンジェイ・ワイダ(ヴァイダ)監督が80歳…

キエフ(キユフ)発

ある日、狼が友人の熊を家に招待することになりました。 早速、熊の大好物のウサギを生け捕りにしました。 さあ、料理の開始です。ところが、ガスこんろのスイッチを入れるとガスがありません。そこで、かまどの火を焚こうとすると、今度は石炭がありません…

2月15日締め切りの原稿を抱えて大童。月曜日には、いよいよ待望のマンションへと引越しも控えている(30㎡で都心)。さよなら、僕の最初のワルシャワ、寮で過ごした短かけりし日々よ、、、

文化レベルとして見たときのワルシャワとトーキョーの違いは何かということを考えてみた。 演劇、芸術活動(アングラも含めて)という観点からは、恐らく、ワルシャワとトーキョーのレベルは差して変わらない。 ただし、決定的にトーキョーが優位に立つのは…

12月24日から26日までは、ボジェ・ナロゼニェ(クリスマス)休暇となる。

知人宅を訪ねて、ワルシャワから南西に350キロ弱、旧ドイツ領のOpole(オポーレ)を訪ねた(行きの電車では4時間半、112ズウォティかかったところ、帰りのバスでは6時間、38ズウォティで済んだ)。 クリスマスイブ(ヴィギリア)の夜、午後6時、…

誰からもほとんどコメントの来ない日記を書き続けるというのも、なかなかストイックで乙なものである。

この週末はほとんど何もしなかった。ただ唯一したことと言えば、件のユダヤ劇場に行って、念願の『屋根の上のバイオリン弾き』(Skrzypek na dachu / Fiddler on the roof)を見に行ったことだろう。久しぶりにお芝居らしい芝居を見て、大いに溜飲が下がった…

ワルシャワに戻ってきてから慌しい日々が続いている。昼間は大学の図書館にこもって、市場経済の導入が本格的に開始された年である1990年の新聞記事を渉猟し、夕方5時から9時までは、日本語学校で秘書のバイトをして過ごしている。

政治経済情勢の分析も、ひとまずはお預けである。さて、人間、面白いもので、時間に追われれば追われるほど、ひと時でも芸術に触れたくなる。土曜日は、朝早くから"Les administrations publiques en Europe -l'etat present et les defis de l'avenir"と題…

いよいよ明日、ワルシャワに戻ることになった。

11月14日(月)に帰国してから3週間、実家にいたことになる。この間、東京に一泊、横浜に一泊、東京に日帰り、茨城北部を日帰り旅行したほかは、ほとんど実家にいて、完璧なニート生活に浸っていた。 最初の一週間は、なんと無しに過ぎ、二週目には、ワ…

帰国してから二週間が経った。以前、欧州に住んで長くなる日本人と話をしていて、一番懐かしい日本の味は、との問いに、「蕎麦」と即答が帰ってきて印象に残ったことがある。

ところが、自分が外国暮らしを始めてみて、やはり思い出されたのは、蕎麦の香りだったのである。 香りを通じて、過去の記憶が鮮やかに思い出されるということは良くある。昔、寄り添っていた異性がつけていた香水の香りをふと嗅いだとき、過去の思い出がフラ…

最近、連日、ポーランドの500大企業データベースをいじりながら、外資系企業の経済指標をエクセルシートに打ち込んでいる。まったく、反吐の出るような作業だ。

ウォッカ無しにはできない作業。それでも、ストレスが溜まる。 昨日は、ひととき、作業を離れて、市中心部にあるフォクサル通り(ul. Foksal)という短い通りを訪れた。 お目当ては、通り沿いにあるフォクサル・ギャラリーで開かれているドイツ人写真家の個展…

今日は、映画館で、Egzorcyzmy Emily Rose (The exorcism of Emily Rose)を見た。6人(匹?)の悪魔にとりつかれた19歳の少女が悪魔祓いの儀式の直後に死亡、司祭の刑事責任を巡って、法廷を舞台に繰り広げられるホラー・サスペンス。司祭の弁護を買って出た無宗教主義者(ateistka)の女性弁護士が、彼女自身、悪魔の挑発を受けながらも、裁判を勝利へと導き、司祭は自由の身となる。

最後の場面で、司祭が、「悪魔を見たものは、その影から一生逃れることは出来ない」と語るのに対して、彼女が、「私は結局、悪魔と遭遇したのか分からなかった」と答えるのは印象的だ。 私は、カトリックについての知識はほとんどないが、バチカンは、現在も…

こっちじゃ、ジェン・フシストキフ・シュフィエンティフと呼んでいる。まったくポーランド語は外人をコケにするために単語を作っているようだ。

ポーランドはカトリック、したがって遺体は土葬。日本みたいに「○○家の墓」というのは稀にしかなく、基本的には、墓ひとつに一人の亡骸が埋まっている。そうなると墓参りも大変。いくつもの墓場を車で移動することになる。ハロウィーンが土、日、月、火の四…