以前から謎に思っていたことだが、中国がグダニスク(ポーランド北部の貿易港)に総領事館(Konsulat Generalny)を持っている。

グダニスクにある諸外国の総領事館は、中国以外では、歴史的な関係が深いドイツ、スラブ三国、スカンジナビア諸国(ドイツ、ロシア、ベラルーシウクライナアイスランドスウェーデン)のみで、以前旅行したときに偶然発見したレンガ造りの鄙びた中国総領事館の存在は、ずっと気になっていた。

今日たまたま、ポーランド中央銀行が発行している「ポーランドの外国直接投資」というレポートを見ていたら、国庫省が、Chipolbrok, Chopolという聞き慣れない二つの外国企業に出資をしていることが載っていた。国庫省が、外国企業に出資を行っているのは、この2社のみである。
早速、Chipolbrokのウェブページ(http://www.chipolbrok.com.pl/strona.php?id=5)を覗いてみると、同社は、中国が共産主義革命を起こしてから最初に設立した外国との合弁企業で、会社設立は1951年、本社は、グディニア(グダニスク近郊)と上海にあることが分かった。
1957年には、最初の船舶であるジェロムスキ号(東独製)を就航させ、同年には、当時のポーランド人民共和国首相であったツィランキェヴィチが中国を訪問、周恩来首相と共に中国側本社を訪問するなどしている。
2004年現在の総トン数は50万DWTで小粒の船会社(商船三井は約4150万DWT)だが、中国と戦後50年以上に渡って海運業務に携わってきた船会社というもの、世界にそうそう無いだろう。なるほど、中国が、わざわざ総領事まで本国から派遣するわけだ。
今後、中国の対ポーランド投資は、劇的に増加する気配を見せており、Chipolbrok社が海運サポートの面で一つの核となっていくこともあるかも知れない。要注意企業であると思われる。

さて、この会社は、まず全うなビジネスを行っている会社であるとして、次のChopolという会社にはウェブページが無い。これは怪しい。そこで調べてみると、1995年9月19日付ポーランド政府閣議決定http://www.kprm.gov.pl/1937_3447.htm)というのが出てくる。これによれば、Chopolは、ポーランド政府と北朝鮮政府が1987年に設立した海運会社で、1995年の外為法改正を以って、内国民待遇を取り消され、外国法人扱いを受けることになったとある(本社はグディニア市内)。以前にも、北朝鮮ワルシャワの同国の大使館敷地内に商事会社を設立して外交問題に発展したが、Chopolは何をしているのだろうか。民生品の輸出入ならグローバリゼーションの世の中、勝手次第で大いに振興していただきたいものだが、、、