ポーランドの新聞でウクライナ・ジョーク特集をやっている(ガゼタ・ヴィボルチャ紙8月24日号)。日本人の感覚からすると、「オチは分かっても笑いのツボが違うなあ」と感じさせるものもあるが、しばしお付き合いいただきたい。

*最近、キエフのバンコヴァ通りにある大統領官邸の前に、クチマ前大統領がユシュチェンコ現大統領に対して、恭しくも熊手をプレゼントしている合成写真が張り出され、市民の失笑を買っている。
ロシア語やウクライナ語では、「熊手を受け継ぐ」というイディオムは、「絶体絶命の境地に陥れられる」(wpakowac sie w powazne tarapaty)という意味を持つ。
ユシュチェンコにとって、クチマを追い出した後の政権の舵取りは、苦難の連続だったと言うわけだ。


無人島にアメリカ人と日本人とウクライナ人がいます。なぜか、3人には、それぞれ2つずつの鉄球が渡され、2週間の期間中にそれで何か考え出すように命令されています。
アメリカ人は、鉄球で鉄アレイを作り、2週間の間、自分の筋肉を鍛えました。
日本人は、何か新しい道具を作り出そうと、様々な傾斜面から鉄球を落として、その速度を測るとともに、2つの鉄球をお互いにぶつけてみて、その結果を記録しました。
それでは、ウクライナ人はこの2週間何をしていたのでしょうか? 
ウクライナ人は、片方の鉄球をなくしてしまい、もう片方の鉄球をダメにしてしまいました。


ウクライナ人、ドイツ人、アメリカ人の旅行者が、人食い人種のいる島に流れ着いてしまいました。人食い人種は彼らを生け捕りにすると、最後通牒(ultimatum)を突きつけました。
「1000ドルを支払うか、たまねぎを一袋分食うことができたら、自由の身にしてやる。さもなければ、わが種族に己の身をゆだねて貰うことになる。」
アメリカ人は、すぐにカネを払い自由の身になりました。
ドイツ人は、頭に手をやって高すぎると文句を言いながらも、結局カネを払いました。
ウクライナ人は、その実、カネを持っていたのですが、たまねぎを試してみることにしました。
何とか半袋分、たまねぎを食ったところで、とうとうウクライナ人は観念して言いました。
「もういいだろう、おれを襲ってくれ。」
しかし、人食い人種の半分が自分を襲いだしたとき、奴はもはや自分の身が持たないことを悟り、痛みにむせび泣きながら言ったものです。
「ここに1000ドルをくれてやるから、どうか、静かな最後をおれに与えてくれ!」


このように、ウクライナ人はいとも自嘲的なブラック・ジョークが大好きな民族なのです(注意: ポーランドの新聞による!)


*あるとき、フツルが河で魚採りをしていると、おぼれかかっている男がロシア語で「ポモギーティェ、ポモギーティェ: 助けて、助けて」と叫んでいるのを耳にしました。
助けを呼ぶ声は何度か聞こえましたが、やがて男は水面にまみれて消えていきました。
川の土手には男が持っていた小太鼓だけが残されていました。
フツルはぺっと痰を吐くと、ウクライナ語で言ったものです。
「あいつがもっと良い人間だったら、人間の言葉を学んでいただろうに。」
「ナフチワブィシィァ・リュディナ・リュトスキェイ・モヴィ」(ウクライナ語)
「ナウチウブィ・スィェン・レピェイ・チウォビェク・ルツキェゴ・イェンズィカ」(ポーランド語)

ウクライナ人、とりわけ、リヴィウ(リヴォフ)などの西部ウクライナの住民はロシア人が大嫌い。
ロシア人は、「モスカーリ」(モスクワ野郎)の蔑称で呼ばれます。ポーランド語でも同じ表現がありますが。
ところで、ポーランドでもウクライナ人は差別されています。
このように、欧州は差別の構造が三重、四重に張り巡らされているので、まったく油断のできない土地柄です。


最後に政治ネタをいくつか。

ウクライナオレンジ革命勢力が連立政権を組むために必要な条件とは何か?
3人の首相と3人の下院議長を置くと共に、国家の中立を保ちながら、NATOに加盟することさ。


*ロシアのナショナリストにして、下院副議長の職にあるジリノフスキが、ウクライナにおいて好ましからざる人物であるとの認定を受けた後のこと。
ジリノフスキの同僚が彼に言いました。
「よっ、昇進したんだってな。少し前まで、ウクライナではお前の事を道化師呼ばわりしていたのに、今となっては新しい、もっとプレステージがある称号を貰ったそうじゃないか。人呼んで、ペルソナ・ノン・グラータ!」

ペルソナ・ノン・グラータは、外交用語で、好ましからざる人物の意味。
ロシア人が高級な言葉の意味も分からず、語感だけで物事を判断している様を嘲り笑った話。


*2006年の冬、ロシアがウクライナへのガス供給を止めた際にウクライナで現れたポスター:
シャンパンの写真が大写しにされ、「ガスなしウクライナシャンパン」の文字がラベルに張られている。
その隣には、過激な反ロシア表現が。いわく、「モスカーリが自らのガスで窒息死するよう、みんなで呪いの言葉を掛けようぜ」

「タ・ニェハイ・チ・クリャーティ・モスカーリ・パピェルフヌートスィァ・スフォイム・ガーゾム」(ウ)
「ト・ニェフ・チ・プシェクレンチ・モスカーレ・ウドワーヴィオン・スィェン・スフォイム・ガーゼム」(ポ)

なんだか、確かに、ウクライナ語バージョンのほうは、ヤバそうな呪文に聞こえませんか!?