ポーランドの自動車市場調査会社Samarによると、イランのホドロ・インダストリアル・グループ社が、ベラルーシにて、現地パートナーのユニソン社と共同でプジョー406をモデルにした新型車「サマンド:Samand」の生産を開始する意向である。イラン製部品を使用した完全組み立て生産(CKD)を行う予定で、2006年中に600台を生産、2007年には6000台を生産するという。完成車は、中東欧、ロシア、ウクライナへの輸出が期待されている(サマンドの写真は下のリンク参照)。

http://www.samar.pl/index.html?__lang=pl&__action=sec,4&new=10992

実は、イラン経済は2005年のWTO加盟と昨今の原油高を受けて絶好調であり、ホロコースト否定発言などでそのエキセントリック性が強調されるアフマディネジャード政権も、経済政策面では、民営化を大々的に進める方針を示すなど、国内では着実な経済改革路線が敷かれつつある。
イランでは2005年の自動車生産台数が100万台を突破し、2002年からの3年間でほぼ倍増となっており、現地メーカーでは、今後は海外進出も積極的に検討していきたいとしている(以上、JETROイラン事務所HP)。
ベラルーシへの外国直接投資(FDI)累積額は、2005年末までに21億ユーロほどであると推計されており(ウィーン比較経済研究所)、一人当たり累積額で見ても、206ユーロ足らずであり、モルドヴァ(266ユーロ)、ウクライナ(310ユーロ)と比較しても小さい。
イラン発のFDIがベラルーシで成功するものかどうか、ひとつ、面白いテーマである。


【ロシア経済】
このところ、サンクト・ペテルブルク近郊に外資としては初めて自社工場を立ち上げたフォード社を巡って、ロシア政府との間に緊張関係が続いていた。
Automotive News Europe紙の記事を要約すると、まず、今年6月中旬にロシア経済発展・貿易省が、フォード社に対して、自動車部品の無関税輸入の条件とされた40%のローカルコンテント(自動車部品の現地調達率)を満たさなかったとして、今後3ヶ月以内に2500万ドル相当の関税支払いを求めてきた。
同社では、関税の支払いによって、1台あたりの生産コストが2500ドル上昇するとしており、ロシア工場では生産が一時ストップするなどの影響が出ていた。その後、7月30日になって、同社では、2006年中は関税の支払い免除が受けられることになったことを発表し、事態は、ひとまず収拾の方向に向かっている。
いずれにせよ、ロシア政府は、同社に対して、2007年までに50%のローカルコンテントを満たすよう要求しており、今後も、何らかの動きがないとは言い切れない。
フォード社は、ロシア工場でFocusを生産しており、今年は6万台を生産する意向である。Focusの現地での人気は抜群であるという。
今回の一件は、対ロシア投資の難しさを改めて認識させられる事例となったと思われる。