ひょんなきっかけで、EUにおける日本企業によるロビー活動について調査、リポートをすることになった。

グーグルで、「日本企業 EU ロビー活動」とキーワードを入れてみると、『日本機械輸出組合』(Japan Machinery Center for Trade and Investment)という聞き慣れない機関が出てくる。
そもそも、同組合は、1952年、「輸出入取引法」によって設立された非営利団体であり、現在、機械メーカー、商社などを中心に300社ほどが加盟していると言う。その活動の目玉の一つとなっているのが、各国政府・国際機関に対する日本メーカーの利害表明、つまりは、ロビーイングであり、EUの中枢ともいえる欧州委員会(European Commission)があるブリュッセルにも事務局を構えている。その海外駐在員だより(http://www.jmcti.org/jmchomepage/jmcjournal/viewcategory.php3?categoryid=6)が、なかなか味わい深い。
今日は、その中から、ブリュッセル事務局次長であった藤井敏彦氏が寄稿した、『EU流政策の作り方(もしくはEU政策の変なところ)』と題するエッセーを紹介したい。
氏が、EUの政治を評して曰く、「EUでは政策理念と現実的制約は相互に独立していて、後者から前者が影響を受けることはあまりないようです。他方、現実可能な策の積み上げ=理念と考える日本にとって多くのEUの政策が理想主義的に見えてしまいます」。
それでは、EUはどのように理想と現実との間のギャップを埋めているか。その秘密は、EUレベルで決定される「理念型」である欧州指令(Directive)を参考としながらも、法的拘束力を持つ実施法の策定については、加盟各国に一存されている点にあると言う。つまり、加盟各国は、その「力量」に応じて指令を解釈し、法律を策定することができるという訳である(具体例としては、環境汚染物質の排出量など)。
さらに、氏の主張は、「理念には理念の強さがあるのは真実であり、日本はこの点で損をしています。ただし、日本がデータに裏付けられた緻密な代替案を提出すると、EUは以外に素直に意見を聞いてくれます」と続く。
ポーランドで生活を始めてから、折に触れて、ポーランド人のがさつな部分、洗練されていない部分が目に付いた。そのたびに、「日本とは違う文化なのだ」という言葉で自分を変に納得させてきたように思う。
しかし、その荒削りと見えた部分には、実は、力強い欧州の「理念文化」のうねりが隠されていたのではないかと考えるみると、これまでとは違った世界が開けてくるかもしれない。そして、日本人は、日本人らしい精緻な論法を駆使して、欧州と対等に渡り合っていくべきである、との氏の提言には大いに勇気付けられた。
私もまだまだ若輩者である。