昨日から、所用の合間を縫って、証券会社を訪問すること二回、ようやく株の購入までこぎつけた。ポーランドの株式市場にご関心を持たれている向きも多いと思われるので、実践的に株式購入方法に付いて解説したい(*以下の記述はあくまで個人の経験に基づくものです。ケース・バイ・ケースで違う手順を踏むということも十分、ありえるでしょう)。

まず、購入資格であるが、ポーランドのヴィザを未取得であっても、ポーランドでの長期滞在の事実を証明する何らかの公的文書(私の場合、区役所が発行した「住所登録証=zameldowanie」が決め手になったようである)があれば、証券会社に口座を開くことができる。日本人が観光で来て、株式を購入できるかどうかは、今のところ確認できていない。
口座の種類には、店頭取引口座とインターネット取引口座があり、後者のほうが、若干、手数料が安くなる。証券会社に付いては、友人の薦めもあり、オランダ系のING証券を選択した。
早速、市中心部、証券取引所のすぐ近くにあるING証券ワルシャワ支店(細かいことだが、同証券会社ポーランド法人の本店は、南部の工業都市、カトヴィツェ市にある)に向かう。付近には、シェラトンホテル、ジェトロワルシャワ支部、経済省を始め、バーバリ、ヒューゴ・ボス等のブランドショップもあり、一際、高級感を醸し出している。入り口で入館手続きを行い、待たされること、暫し。顧客担当受付に従業員が一人しか居ないところが牧歌的である。口座開設の手続きそのものは、日本とほぼ同様で、住所・氏名などの記入に始まり、証券取引に付いての簡単なアンケート回答、証券取引に伴うリスクについて理解している旨が書かれた書類へのサイン、取引時に使用する暗証番号の設定、最後に、口座開設契約書へのサインをし、15ズウォティ分の収入印紙納付で終わる(これらの書類には英語版は無いようである)。
次に、証券会社の指定口座へ入金を行う。日本と違う点は、
1.入金が銀行窓口での払い込みによってしか出来ない点(現生を持って行っての来店支払いもできない)、
2.口座への預かり金へは利子がつかない点、である。
そして、いよいよ注文へと移る。私はインターネット口座を開設したが、注文はネット経由でも、フリーコールでも出来る(電話注文では、氏名、口座番号、暗証番号を聞かれる)。
ちなみに注文は1株単位から可能で、日本のように額面×1000株単位などの縛りはない。その分だけ、取引単価も安く、気軽に売買が出来る市場となっている。
ここで、ワルシャワ証券取引所(WSE)について簡単に触れておこう。野村證券に拠れば、2005年5月末で、WSEには227銘柄が上場、時価総額は7兆円に達するという。これは、東欧では、モスクワ証券取引所時価総額34兆円)に次ぐ規模である(http://www.nomura-am.co.jp/basicknowledge/mame/11_touou/)。
ただし、このうち、主に取引されているのは、便宜的に「WIG20」と呼ばれる主要24銘柄である。その内訳を示すと、石油精製業が4社、金属精錬業が2社、製造業が3社、建設・不動産業が1社、商社が1社、観光・ホテル業が1社、銀行が5行、IT・ソフトウェア関連が5社、マスコミ関連が2社となる。一株あたりの単価で見ると、概ね、50ズウォティ前後(2000円弱)、150ズウォティ前後(5000円強)あたりに単価が集中している。
最後に、私が買った銘柄、KGHM(ポーランド精銅会社)に付いて紹介して幕としよう。同社は、ポーランド南西部に位置し、銅および銀を産出している。産銅量では世界第6位(欧州では1位)、産銀量では世界第2位を誇る。購入理由は、
①中国での需要増からロンドン・上海市場での銅価格が急上昇しており、今後もしばらくはこのトレンドが継続すると思われること、
②銀価格に付いても、直近の2年間でジワジワと上昇基調にあること、
②同社株の出来高が大きく、株単価も50ズウォティ前後であり、PERが6.77倍と低く、PBRも1.63と低い数値を示していること、
である。
当方もまだまだ、ポーランドの証券市場に付いては素人である。取引経験を徐々に増やしながら、そこで得られた情報に付いて、公開していきたいと考えている。

追記、

当地では、PARKIETという証券専門紙が発行されており(値段は3.5ズウォティ)、PER(Price Earning Ratio: 株価収益率。株価を一株あたりの利益で割ったもの。一般的には、倍率が高いと割高、低いと割安とされる)やPBR(Price Book-value Ratio: 株価純資産倍率。数値が高ければ、自己資本と比べて割高、低ければ、割安と判断される)などの指標を各銘柄に付いて毎日ウォッチできる。
なお、株式市場用語に付いては、以下のサイトを参照させて戴きました。http://www.maiei.net/kablog/archives/cat16/